Discordサーバー連続凍結事件の経緯まとめ

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この記事は、2022年12月の虚偽通報による連続凍結を中心に、サバ凍結関係の情報をまとめたものです。後年に歴史資料となることを期待しています。

執筆時点で最大限に確度の高い情報を書くつもりですが、一部には推測を含みますし、誤認もあるかもしれません。気付き次第修正します。省力化のため本文は砕けた口調で書きます。

主な攻撃者の目的が「有名になること」なので、攻撃者そのものの名前は取り扱いません。コメント等で出すことも控えるようお願いします。悪名が轟くほどに後続のモチベを高めてしまいます。

概要

・22年11月頃に多数のDiscordサバと管理者アカウントが凍結された
・12月初めに凍結は全て解除され、恐らく同様の手口は通じないように対策済み
・首謀者は現在も活動は続けているが、脅威度は無視できる程度に低くなった

今回の攻撃者はいわゆるスクリプトキディ、つまり自分自身にはろくな知識がなく聞きかじりや市販ツールで攻撃しているだけの者と思われる。例えば足し算を行うごく初歩的なプログラムを作るのが大変だったとツイートしていた。既に応急処置が取られたようなので、今回の危機はほぼ過ぎ去ったと考えている。

筆者の立ち位置

Discordサバ管理人、兼Bot開発者。

実際に管理しているのは一番大きいので5000人規模のパートナーサバ、50万人利用のBotと、中規模のものに留まる。ただ、サバ管理もBot開発も手を出していて管理者の知り合いが多く、情報はそれなりに知り得る立場にあるので経緯をまとめることにした。

代表作は引用BotのExpand

今回消されたポケモンユナイトサバの管理人もやっていたし、他にも友人が管理するサバが複数攻撃対象になり、詳しい話を聞くことが出来た。

21年1月 通報機能の実装

Androidのβ版に通報機能が実装された。攻撃者が漏らした情報などから、一連の凍結はこれを悪用したものと思われる。iOS版にはこれ以前から存在していたが詳しい時期は不明。PC/Web版には22年12月時点で存在しない。

この機能は内部APIを単純に叩く形になっており、噛み砕いて言えば特定のURLにサバIDなどを添えて接続するとDiscordアプリを経由しなくても通報が成立するため自動化が容易。自身がBANされたサバに対しては通報できないが(サブ垢で回避可)、それ以外はサバに参加していない場合を含め特に制限なく連投できるようだった。

 

これをサバ所有者を対象として大量に実行することで、該当サバ及びサバ所有者のアカウントが凍結するとされている。

通報が一定数を超えるだけで自動的に凍結される説(Discord側は否定)と、人力で審査はしているがあまりに大量に報告が来ると担当者が嫌になって承認し凍結される説を見かけた。「15分で5000通報」や「1時間で消せる」といった発言が見られたため前者が有力なようにも思えるが、そうなると数万件の通報をしていることになり、自動処理ラインが異様に高いのも疑問がある。人力審査が滞ったときのため、過度に高い自動処理ラインが用意されていた可能性はあるが……。試しに200通報送ってみた限りでは消えなかった。

サバが消える前に警告メールが来た事例もあったことや、少数の通報で凍結された事例もあることから、個人的には以下のように予想している。
・通報を人力で軽く確認して採用/不採用を決めていて、採用件数が一定量に達すると凍結
・Discord側の審査員に一部不真面目な人がいて、来た通報の一部が無条件に認可されている?
・それによってすぐに閾値を超えてしまった場合は即時凍結で、少量通されただけだと警告止まり、さらなる通報爆撃によって追加点が来ると凍結
・本当にダメなものや、ダメっぽくみえるものは正規の審査員も通過させるので少量でもサバが止まりやすい
もちろん想像に基づくものであり、実際の内部処理を知るすべはない。

 

なお全ての通報を人力で精査するのは現実的でない場合も多く、通報件数で自動凍結になる仕様自体はよく見かけるもの。普通は凍結後に抗議された際の再審査はしっかり行われるのだが……。

以前は通報後に受領番号らしきものが返ってきた一方、現在は204のみ、つまり「受信したが返すデータがない」の信号に変わったため、Discord側が問題を把握して何かしらの対応を取ったことが察せられる。

12月13日現在では通報連投による新規凍結らしきものは確認できていない。警告が来た事例自体はあるため、通報の一切を遮断しているわけでもないようだ。まともな人力審査のみになってる?

一部の情報はサブアカウント同士で少量試して収集した。

21年4月 凍結ツールの一般公開

確認した範囲では、前述の攻撃を自動化する最も古いツールの公開がこの時期だった。これ以前にも内輪で共有されていた可能性はある。このツールは英語圏で無料配布されていたものだが、英語圏の荒らし事情には詳しくないため流行がわからない。

21年11月にはこのツールを示唆するissue(Discord運営への技術者向け提言窓口)が建てらたが別の窓口を案内されており、投稿者はそちらに行ったようだ。22年12月まで大きな動きがなかったことから考えるに、多数の報告に埋もれて顧みられなかったのかもしれない。

私自身も1年ほど申請を放置され、返事が来ないことを複数回問いただしても梨の礫だったことがある。5営業日で回答すると宣言されているテンプレ申請であるにも関わらずだ。Discordのサポート体制には大きな問題がある。

ちなみに今回の攻撃者はこのツールの存在を知らなかったと主張していた。後述の理由から個人的には信じていないが、本当に知らなかったのだとしたら、軽く検索すだけで見つかるものに気づかず車輪の再発明をしたことになる。

21年9月 TASサバ凍結

“TAS好きの人たちがわいわいするところ”
把握してる限りでは最初の大きなサバ凍結。詳細は当事者の書いた記事を参照されたい。

概要としては、
・日本の法律に反しない範囲の成人向け画像を共有する隠しchがあった
・新規参加者の集団がそのchを見る権限を取得しているのを確認していた
・「子供を性的に扱う画像の共有」を理由としてサバが消された
・管理権限持ちの多数のアカウントも同時に消された
・Discord運営に抗議することで副管理人のアカウント(管理活動の実態がなかったもの)は戻ってきた例が多いが、サバ及びサバ所有者のアカウントは復活しなかった
……というもの。

報告書の中には言及がないが、おそらく子供の性的画像(非実写)も本当にあったのだと思う。それが合法な日本人の間では珍しくない。これ自体は正当なBANと思われるため、悪いことをしていた人達が見つかって裁かれただけなのだが※、意図的な通報で大きいサバを消す遊びが広まったきっかけではないかと考えている。

※Discordはアメリカで運営されているため規約もアメリカ基準。アメリカでは(実在/非実在を問わず)子供を性的に扱う画像等を所持するだけで違法なため、Discord上でも投稿を禁止する規約になっている。日本で合法な品もアメリカでは違法で、アメリカ企業の規約には反する場合があるのだ。アメリカでの歴史的経緯はこの記事がわかりやすい。

 

このあたりから「子供の性的画像を投稿し、それを即座に通報することで凍結させる」という荒らしがしばしば確認されるようになった記憶がある。

ただ、TASサバの事例は少し違和感もあって、私や親しい人が運営するサバに子供の性的画像が貼られて通報された際、運営から警告メールは来たものの「続くようならサバBANもあり得るからちゃんと管理してね」といった内容で、即時消去になった事例は聞いたことがなかった。TASサバの例を受けて対応が変わったか、TASサバ管理人がメールを見落としていた可能性もあるかもしれない。

21年12月 Twitter2凍結

TwitterとあるがDiscordサバの名前であり、Twitterとは関係ない個人が建てたもの。
こちらもまとめ記事があるので詳細はそちらを。

・トークン風文字列が一気に投稿され、しばらくしてサバが消えた
・Discordに抗議しても決定は覆らなかった

トークンはDiscordに接続するための本質的なパスワードのようなもので、これがあれば本来のIDやパスワードがわからなくてもログインできる。普段は隠されているが特殊な操作をすれば確認可能。フィッシング等で取得されるのもトークンだと思われる。

トークン投稿は直接の違反行為ではないはずだが、トークンを集めて複数アカウントを同時に操作して荒らすような行為もあるため、「トークンを共有して悪いことの準備をしている」と通報すると通ってしまうことがあるのを発見されたと見ている。実際にフィッシング犯のディスコサバで盗まれたトークンが連投されていることもある。
ここで投稿されたものはDiscordトークンのルールに従っていないため全てフェイクと思われるが、Discordクライアントの簡易判定には引っかかる形式であった。自動判定しているのか人力判定なのかは不明。

なお、この記事からは詳細がわからないため「にゃるら氏は自動返信メールで諦めてしまったから復活しなかったのだ、更に返信すれば対応されたはず」との説が一部で広まっているが、当時本人に直接聞いたところによれば「きちんと返信して追加の抗議をしても判定は変わらなかった」とのこと。

21年12月 不正に垢BANされたと主張する人達

「心当たりのない理由で垢BANされ、抗議しても覆らない」と主張する人を複数見かけた。荒らしグループに目をつけられやすい立場の人であったように記憶している。

前述のissueが建ったのもこの頃。
このときも一部のサバは復活したが、大半は抗議が受け入れられなかった。

今思えば今回と同様の手口で攻撃されていたのかもしれない。
いつの間にか見なくなった。

22年3月 手動通報によるサバ凍結

荒らしグループの一部で「5人程度で(手動の)通報連投するだけでサバが消える」という情報が流れており、実際に止まったサバが複数あることを確認していた。

ただし、この時私が見かけた限りではあまり大きいサバは狙っておらず、個人的かつ小規模な因縁でやっているようだった。

理由を問わず通報さえすれば消えることがあることが認識された?

22年5月 チェインメッセージが流行る

以前から定期的にあったことではあるが、特定のアカウントに対する注意喚起を装ったチェインメッセージが流行る。真偽や実効性は不明ながら「デマの流布として通報してサバやアカウントにダメージを与えることが目的なのだ」との情報もあった。

22年6月 今回の首謀者が活動を開始する

6月に中規模のマイクラ荒らしグループサバを凍結させたことを宣言。8月にも同グループ及び活動拠点にしていたマイクラサバのDiscordを再凍結。6月以前にも1度やっていたらしい。
この時期は著名なDiscord荒らしグループを名乗っていたが、後にそれらのグループには属していないとも発言している。が、その後もグループ内で活動しており、pip(開発の基礎的なコマンド)が上手く出来ず助けを求める様子なども見られた。

9月には足し算や引き算をするBotのコードを公開し「凄い疲れた」とツイート。基礎的な開発力が低いことがうかがえる。凍結面では大人しくしていた。

10月から中規模なエロサバを連続して狙い、徐々に大規模サバ狙いに遷移していく様が確認できる。

11月からは第五人格関係サバも対象に加わるようになる。攻撃者自身もプレイしており、「なかなか勝てない」「ゴミゲー」などとツイートしていた。

11月20日までに20のサバ凍結を宣言。

22年11月 大手サバが凍結され始める

11月25日。第五人格の公式サーバーが凍結。なおゲーム公式が建てたサバではあるが、Discord上の分類で公式サバではなかった。

Discordサバはある程度大きくなるとDiscord側に申請を出すことができ、優良なコミュニティであればパートナーサバ、企業公式などであれば公式サバという特殊な分類になることがある。

著名ゲームの公式サバが凍結し、公式が「この影響で予定していたイベントが出来なくなった」と発言したことで一般層にも情報が広まったように思う。TweetDeckで”discord”などの単語を常時表示させているが、この時期から凍結に対する言及が増えた。

26日。フラッシュパーティ公式が建てた通常サバ凍結。

分類上の”公式”と”パートナー”サバも凍るのか気になるから次に試すとの発言あり。次にパートナーサバが凍るが、結局公式サバが凍ることはなかった。運営元がはっきりしている分、公式サバは自動的な凍結の対象外に設定されているのかもしれない。後にディスボードのサバも凍結できないと発言していたが、こちらは公認モデレータがサバ主になっている。

27日。自作ツールによる凍結であり、販売もしていると宣伝。他の場所で話していた内容によれば、かなり古いPCしか無く、所持金も少ないとのことで、知名度もそうだが小遣いも欲しかったのかもしれない。一方で60万持っているとも宣言しており詳細不明。
常識的に考えれば明確な違法行為であり、一時的に有名になったとしても行き過ぎれば警察に捕まり、賠償なりをすることになって割に合わない。実際これまでも似たような案件はあったものの、主に荒らしグループ同士の抗争に使われていたようだ。後先を考えない無敵の人案件だったように見える。

なお前述のように同機能のツールは2年前から無料配布されている。この手のツールは既に無料版が存在することも多いし、使用することによるリスクも非常に高いため、犯人に金を払う必要はない。使用が違法なのもそうだが、ウイルスが仕込まれていたり詐欺な事例も多い。相手は法律を破る人間であることを意識する必要がある。

11月末日 運営者間で情報が広まる

11月29日にポケモンユナイトJPが凍結。紛らわしい名前だがゲーム公式ではなく有志によるもの。パートナー認定されていた。

TGSのDiscordブースで紹介されて注目度が高いサバであったため運営者間で話題に上り、運営者同士のコミュニティで情報が広く共有された。それ以前は内々で伝達されるに留まっていたように思う。

また翌日に凍結されたそうだよ(便乗)Botと、凍結予告を受けた結月Botも多くの開発者とつながりがあったため、12月1日には感度の高い運営/開発者の間でPauseInvite機能の使用が広まる。

PauseInviteは22年9月に追加された機能で、サバに参加するための招待リンクを全て一時的に使用不能にする。つまり新規入場の一切を拒否することが可能。リンクの復活も可能なため、古い記事のリンク切れを心配しなくて良いのが便利。

ポケユナの事例

ポケユナの事例では突然凍結され、サバと管理者アカウントが使用不能になった。管理者権限を持つアカウントが他に存在したが、TASサバの事例と違いそちらへの影響はなかった。これは他の事例でも共通するが、管理アカウントが所有する他サバへの影響もなくサバは存続する。長期的に継続した場合に後から消えるのかは不明。

元々複数アカウントで管理サバに入っていたため、即座に他の管理サバで電話認証を必須化し、12/4にはPauseInviteを有効化した。これは功を奏したとも言えるが、他の事例から考えれば連鎖的に凍結させられて行動不能に陥るリスクもあった。

BAN通知メールに抗議し、後日撤回メールが来た。

11月13日にサバに入室し、Botコマンドを使用して荒らせる穴を探しているログが残っていた。管理が甘いサバではBotのコマンド実行でログを流したり出来る場合がある。27日に攻撃対象になっているとの情報を得てメインアカウントをBANしたが、サブアカウントで参加され29日に凍結した。

各行動に間があるのが気になるが、攻撃者をよく知る人物によれば「ただの気まぐれで動いてなかっただけ」とのこと。真偽は不明。

そうだよ(便乗)の事例

そうだよ(便乗)Botのサポートサバも突然凍結され、こちらも他のアカウントは凍結されなかった。管理権以外のすべての権限を渡していたとのこと。

なおDisccordの仕様として、Botの管理アカウントが全て消えるとBotも消えることが確認されている。これを避けるため多くの管理者は秘匿アカウントと共有管理しており、そうだよBotも同様にしていたためBot自体には影響がなかったとのこと。

30日のBAN通知メールに即日抗議したが自動返信メールが来たのみで、更に返信したところ7日になって撤回メールが来た。6日にサバ凍結が解除、7日にアカウント凍結も解除。

結月の事例

厳密には結月などのキャラモノBot複数をまとめたLunaサポートサバの事例。

12月1日に公式から「悪意を持って他者の個人情報を共有していることが確認されているからちゃんと管理しろ」などと警告メールが届き、「そんなことはしていない、最近意図的な凍結が相次いでいるからそれではないか」と抗議したが、自動返信しか来ずに待機することになった。12月4日にはそのまま凍結されてしまう。

この際サバ所持アカウントは当然として、”メッセージの管理”権限を持っているだけのアカウントまでまとめて凍結された。TASサバと同じ事例。

Bot所有権的には問題なかったが、Botでサポートサバの絵文字を使用してたため、一部のコマンドが動作しなくなる障害が出た。

収束

確認した限りでは全ての凍結サバ共通で、6日2時から12時頃にかけてサバが復活、6日22時頃にサバ主アカウントが復活。日本の午前2時はアメリカの12時。

復活したサバは全てのチャットログやメンバーが残っていた。元参加者から見ると、元のサバ順序は無視されてリストの一番上に突如新サバが出現する。所有アカウントの凍結が溶けるまでにタイムラグがあったため、サバによっては管理不能な時間が生まれて困ったようだ。

また前述のように通報APIのレスポンスも204に変わり、公式が問題を認知したことが察せられる。

ただしLunaサバは12月13日時点でディスカバリーの違反フラグが残ったままで掲載拒否されており、次に何かあれば不当に軽微な違反で再発することが懸念されている。抗議もしているが未だ返答がなく、管理アカウントも戻ってきていない。同様の別サバではそのままアカウントが消去された事例もあるようで、動向に注視したい。
→17日1時ごろに全てのアカウントが復活した。

事前に予告メールがなかった他のサバでは、このような事象は確認されていない。

特殊な状態であったからか、復帰後にBotのインタラクション周りがおかしくなったとの報告が見られた。招待リンクから再導入すれば解消される。これが他のサバでも発生していたかは未確認。

他コミュニティでの動き

フィードバックフォーラム、issue、脆弱性報告所と、複数の窓口へ同時多発的にこの件の報告がされているのを観測した。

PauseInviteを使用したり、所有者をサブ垢に交代したり、ツイッターやホームページなどDiscord外の連絡手段を広報するサバが多く見られた。一時的に管理グループ用Slackを作ったり、ツイッターなど外部のアカウントを交換するサバもあった。

開発者がいるサバでは、チャットログを全部別サバに転送してバックアップしたり、参加メンバーの一覧を控えるような動きも見られた。まだ共同所持にしていなかったBotは、共同化の申請をしているところが多かった。※大規模なBotは運営に申請しないと所有者を変更出来ない

普段は管理権限を一切持たず、所有専用のサブ垢と専用Botにだけ権限を押し付け、Botのコマンドで必要なときだけ権限を一時付与させる、というシステムのサバも増えた。

筆者は口が悪く目立ちやすいので、長期的な対策の一環として普段遣い用とプライベート用アカウントを分離した。

これまでの予測が正しければ、防ぐ手段は事前のPauseInviteかつ(所有アカがわかればサバに参加していなくても攻撃できるので)サバ所有アカウント隠匿しかなかったと思われる。上記の対処法もほとんどは攻撃後の被害軽減のため。公認アカウントか公式サバになれば防げたかもしれないが、個人では基本的に取得できないため現実的ではない。

教訓と考察

簡単な凍結は出来なくなったと思われるが、誤BANで消える可能性が完全に消えたわけではない。例えば通報の連投をしづらくしたり、審査を厳格に行う対策が思いつくが、いずれも完全に回避不能にするのは難しい。凍結後の迅速な対応をDiscordに求め続けるしかない部分もあるだろう。

Discord以外にも複数の連絡手段を確保しておき、多重化した方が良い。広報の面でもTwitterやTikTok垢を運用しておくのは有用。

所有アカウントの分離などの対策も重要。筆者はログを継続的に別サバへバックアップし続けるBotを作ろうかと検討している。

管理者用サバを別に作り、消えたら困る会話はそちらで行うようにするのも有用。特にBotのサポートサバは消えてもBot経由で宣伝することで容易に復活できるため、管理者のログさえ別サバにあればノーダメージになる。サブ垢に所有権を渡す場合、メイン垢から権限をとることを忘れずに。必要な権限だけch個別に与えれば良い。

今回解除の前例ができ、誤BANされても解除される見込みが出てきた。しばらくは従来型の連投荒らしなどが増えるのではないか。

今回の攻撃者は、違反と言えそうな過去ログを探してきて通報する方向に移っているようだ。過去ログを長く残さないことである程度の対策になるが、記録を残せないという問題が生まれる。そもそもTOS違反の発言が残っているのは良くないので、問題発言は随時消去やBANなどの対応を取るように普段から心がけよう。それでも違反扱いされた場合や、自演が疑われる場合などは抗議してみるしか無いと思われる。

単純な虚偽通報は対策されたとしても、トークン貼り付け通報については成立する可能性がないとは言えない。(23年3月時点で成立したという話は聞かないが)この形式の攻撃はAutoModで完全に対策できるので、念のため事前に設定しておくと良いだろう。

攻撃者のその後と余談

それまでは「凍結解除は絶対に不可能、私に喧嘩を売った時点でお前の負け」「HAHAHA 私が凍結マスター様だ」などと言っていたが、凍結一斉解除の初弾が来た2時間後には所有サバとアカウントがBANされた。

その後も「次はあの有名なサバを凍結させる」「根本的な対策をしない限り被害は広がる一方」「復活したサバは再凍結させる」などと活動継続を予告していたが、復活と同時に通報APIの挙動が変わっており対策されたことがうかがえる。結局それから凍結されたサバは確認されていない。

通報APIが204になっていることを指摘されてもレスポンスの確認方法がわからなかったり、PauseInviteを知らず「凍結復活されたサバ向けの新機能だ!」と騒いだり、手口を低級な(より本質に近い)形で質問されてもはぐらかしたり、repl.it(Botと相性が悪いため普通は使わない無料サバ)でBotを建てようとする上に初歩で詰まったりと、基礎的な知識が欠けていることが察せられる発言を多数観測できた。

ツイッターの凍結攻撃を始めると言いつつロック(一時的な制限であり電話認証などで容易に復活できる状態)で自慢したり、「自分は荒らしたのではなくただ違反を見つけて通報しただけだ」や、しばらくして「あそこのサバだけは本当に通報してたのになんで復活してるんだ」と過去の発言と一致しない支離滅裂なことを言い出したりもしていた。零落が激しい。

現在は過去ログを漁って「TOS違反ではあるが今まで見逃されていた発言」を通報していると思われる。対応策は前述の通り。「暴言なんてどこのサバでもあるしTOS違反だろ」といった発言も見かけたが、少なくとも筆者の管理するサバでは暴言などを逐次取り締まっていたため存在しない。もし自演で暴言投稿直後に通報が成立してしまうならDiscord側に問題がある。

今回の件は無敵の人による一時的なテロで、今までの荒らしがあまり大手を振って活動しなかったように、大きく目立ちすぎるとDiscord側の対応や法的措置などの正攻法で潰される。そもそもが後先を考えない人間による一時的なものである。

本当に頭が良く知識もある人間が似たことをすると手に負えなくなる可能性もあるが、頭の良い人間は普通正攻法でも承認欲求を満たせるので実行することは少ない。本格的に殴り返されると人生が詰むことが確定している行為である以上、荒らしをしている時点であまり頭が良い人間とは言えないだろう。

筆者自身は直接狙われない限り特に動く予定はないが、今後も続けるようであればそのうち虎の尾を踏むことになるだろう。記録として残すため今後も状況を追い続けたい。

(追記)これを書いた1週間後くらいに、私の運営サービスに対してDDOSを仕掛けているのを見かけた。幸い問題なく対処できたが明確に犯罪である。この手の人に絡むとこういった事が起きるので普通は放置したほうが良い。

23年3月 AI絵作り研究会凍結

収束したかと思われていたが、また中規模(5000人)サバの凍結を観測したため追記する。

今回はトークンやエロ画像投稿ではなく、暗号文らしきものを貼り付けられた後に凍結。28日23時に怪しい文が投稿され、翌5時に凍結。同時期にGameWith Discordにも同様の文が投稿されたが、そちらではすぐに消去したためか問題は発生しなかった。

当人曰く「これは、ロシアの特別サービス – 軍事情報機関と日本に対する対諜報機関で働いていると考えられている人々に関するなぞなぞまたは何らかのコードです」「急いでスクリーンショットを取ってください、彼らはそれを消去し続けます!」とのこと。投稿文は「80. hd-4n 8 r. 0d- 5ky1 – Uptime」から始まる9行529文字のデータだった。

現時点では詳細不明だが、個人的にはこれはブラフで、TASサバの事例と同じく児童ポルノ(アメリカ基準)による凍結ではないかと推察している。このサバにもNSFWチャンネルが存在した。

(追記)児童の性的イラストに関する通知がDiscordから来たと鯖主が明かした。元メンバーによれば、特別厳密に児童イラストを取り締まっていたわけではないと聞くため、イラストを多数投稿するサバなことから実際に規約違反の画像が多数投稿されていたものと思われる。そのため一連の事件とは直接関係ない。

余談 23年11月 ノベタサバBAN

本題からはズレるが、Little Witch Nobetaの公式サーバーがBANされた。

少女が主人公のアクションゲームで、ロリダークソウルとしても知られる。ゲーム中にエロ要素はあんまりないが、公式XでほぼR18イラストを定期的に公開したりもしてる。
https://twitter.com/nobeta_staff_jp/status/1723297194936320244

Discordにも投稿していたかは覚えていないが、ユーザー間では普通に似たような投稿があった気がする。新サバでも感覚遮断落とし穴の公式イラストとか投稿されてるのであんまり反省してない可能性もある? 明確にアウトなのは流石にXとかにしか出してないけど。でもXも規約上は禁止だし実際このくらいで凍結されてる例も多い。

明確な全裸とかじゃなくてもBANされることはあるし、大きなサバだからって見逃されるとも限らないのでちゃんと気をつけようね、って話。ちなみに誤解されやすいけど股間がモザイク等で隠されてるかは日本の法律回避のための基準なのでDiscord=アメリカに対しては関係ない。モザありでもロリショタはBAN対象になりえるし、逆に成人ならモザイクなくても問題なし。日本からor日本人が投稿してると日本の警察が来ることはあるけど。

あと再建後のサバが色々整備されてなくて大荒れしている。荒らし対策もほぼされていないようだ。ここに限らず見識がなく荒れているサバをよく見るので、大きくなる事が予見されるサバや、特に企業等は有識者の意見を事前に聞くことをおすすめする。
荒らしはダメなんだけど、正直荒らしたくなるのもわかるっちゃわかる。アーリーで買ってたけど製品版の品質ひどかったもん。あんなことに私達の売上を使わんで欲しかった。

私で良ければ助力できるかもしれないので、la.zipにフレンド申請してもらっても構わない。

謝辞

複数の関係者や有識者に直接話を聞く機会があり、詳しい情報を得られまれました。名前(敬称略)と主な立場を記して感謝の意とします。

葵 結月 開発者
Alpaca ALBOT開発者
sizumita Bot開発者
そうだよ(便乗)Bot開発者
daima3629 2FACheckerJP開発者
にゃるら Twitter2管理人
Wendlandia Bot開発者
being 大型サバ管理人
himarho バーチャル大田区Discord支部 運営協力
PokemonUNITEJP管理人
yutarou12 Bot開発者
yuyasurarin discordwiki管理人

改定ログ

22年12月17日 Lunaサバ副管理人の復活について追記
22年12月18日 既存ツールについての言及を見かけたため追記
23年3月29日 AI絵作り研究会消滅について追記
23年11月22日 ノベタサバについてと余談を追記
たぶんもう更新しない

 

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